象の歯磨き粉実験
この実験は派手でまさに「化学実験」を象徴とする注目度の高い実験です。
ここでは
象の歯磨き粉実験に必要なモノ、それは過酸化水素水。
化学式では、水がH₂O、過酸化水素がH₂O₂です。
過酸化水素は非常に不安定な化合物でもあるため水溶液として一般的に用いられています。
2H₂O₂ → 2H₂O+O₂
と、この反応式の酸素と水に分解する実験を学生時代に行ったこともあることでしょう。
この反応を得られるための酵素のカタラーゼで行うことが簡単です。
そして、ド派手に行うにはカタラーゼではなくヨウ化カリウムを用い、過酸化水素もパーセンテージの高いものを使い、それが象の歯磨き粉実験と呼ばれています。
お家でできる過酸化水素の実験
オキシドール(過酸化水素3%程度)と野菜くず等を使った野菜ロケット実験はカタラーゼ等の酵素の有無や含有量の大小を楽しく理解できる実験です。
※こちらを使い(真似して)実験を行う場合は必ず当社の認可を得てください。
※無断使用はおやめください。
※周囲にオキシドールや野菜くずが飛散しますので、汚れや飛散防止の処置を必ず行ってください。また処分法も正しく行いましょう(当社では正しい処分法のもと行っています)。
オキシドールの仕組みと知られていない使われ方
【オキシドールの仕組み】
オキシドールは約3%(2.5~3.5%)の過酸化水素が含まれた水溶液で過酸化水素水と言います。
このオキシドールを傷口に塗布すると泡が出ます。
これは体内にあるカタラーゼと言いう酵素が触媒となって過酸化水素を酸素と水に分解する反応が起きているためです。
つまり、泡の正体は酸素です。
そして、その反応の際に発生する酸素が殺菌作用があるのです。
殺菌作用としてはそれ程強くないのですが、泡と水が発生することで、傷口からばい菌や汚れを洗い流してくれる役割も果たしてくれるのです。
この点がオキシドールの優れた点です。
が、欠点としては過酸化水素は不安定な化合物のため衝撃を受けたり、月日が経つとドンドンと水と酸素に分解されてしまうため、長期保存するとオキシドールの過酸化水素が、いつの間にか無くなっていたり、効き目が小さくなっている場合があります。
【オキシドールの知られていない使われ方】
オキシドールを傷口に塗布するのは知っている人も多いなか、意外と知られていないのが
鼻炎に使える・・・原液のまま塗布、滴下する
扁桃腺、咽頭頭炎に使える・・・原液のまま塗布、滴下する
口内炎に使える・・・10倍ほどに希釈して洗口(せんこう)
なんて用途もあります。
つまり、外傷だけでなく、ちょっとした口内炎とか、口や耳の炎症でも使えるのです。
使用期限が短いオキシドールですから、家庭では大きなモノを買わず小さなモノを買った方がロスなく本来の効用のまま処置できるということです。
※インタネットの誤情報に注意! 絶対にオキシドールを飲んではダメです!・・・昨今、インターネットに誤った情報で「オキシドールを飲むと満腹感が得られ痩せる」と言った出鱈目(でたらめ)が出回っていますが、万が一、飲んでしまうと空気塞栓(くうきそくせん)と言って、血管を空気(もしくは気体)が閉塞してしまい急速に致死に至ってしまう場合があるためです。
お家でできない実験・・・象の歯磨き粉実験
【過酸化水素水(30or35%)の画像】
過酸化水素水を理科実験の試薬として500mlを購入する場合は通常35%、大量に使う際は20kgサイズがあり、こちらは30%で、これらを購入できます。
過酸化水素水(30%)の20kgを初めて見たときは圧巻です!
が、そのあとに過酸化水素水(35%)20kgを見た際は500mlだけでなく、「あるんだ」ともっとビックリしました!
【過酸化水素水(35%)500ml】
【過酸化水素水(30%)20kg】
【過酸化水素水(35%)20kg】
一般では過酸化水素水(30%)、過酸化水素水(35%)は購入できません。
なぜならば化学火傷を起こしたり、危害を及ぼすためです。
【注意】経験談として、新入社員のころ、初めて、実際に素手で新品の薬品だからと何気なく開封したら、フタに付いていたらしく過酸化水素水(35%)を触っていたようで(触れたかどうかは直ぐに気付きません)、しばらく経つと、とてもヒリヒリして肌がボロボロと剝けてしまいました。
考えただけでも恐ろしいですし、そのほかにも発火の恐れがあったりと、いろいろな理由で取扱いの難しい薬品です。
市販されないのは当然の薬品です。
【象の歯磨き粉実験のやり方】
YouTube動画等で見る機会が圧倒的に増え、THE化学実験と言う地位を確立したと言っても過言ではない象の歯磨き粉実験。
その反応の様子が歯磨き粉のように見え、大きいことから、「まるで象の歯磨き粉だ」と思え名付けらた過酸化水素を触媒で酸素と水に変える実験です。
↓【高さありの実験】
【過酸化水素水の量による高さや泡の吹き出しの比較実験】
同じ5リットルの丸底フラスコで量を変えて比較実験を行っています。
【5リットルの丸底フラスコで高さ低め、泡多い実験】
【5リットルの丸底フラスコで勢い良さと高さのある実験】
【上の泡の見え方と最高到達点の比較画像】
※動画の上の方が左の画像で、勢いと噴出の迫力が凄く良い感じです(個人の感想です)。
↓【会議室程度で安全に行える高さ低め、泡多めでの実験】
会議室のような天井の低い場所では高さを抑え、汚さないような調整を施しています。
<やり方のポイント>
配合はおよそですが、過酸化水素水(30%):台所用洗剤(キュキュットのマスカット):ヨウ化カリウム=10:1:2
ヨウ化カリウムはそのまま入れる場合は粉末より顆粒の方が調子が良く、水溶液にする場合は温かめの水を同じ重さ、つまり2:2とします。
洗剤と着色剤を入れた過酸化水素水(30%)に、ヨウ化カリウムを加えると、数秒でボワーッと激しく泡が発生します。これをどんな容器に入れて行うかにより、見た目が異なる象の歯磨き粉実験ができます。着色剤もどれも良いというわけではありませんので注意してください。
少しだけポイントとして気に留めておきたいこと!
着色剤は濃ければ濃いほど発色の良い色が出ます(何でも良いという訳ではありません)。
これをベースに高さを出したい場合の工夫、高さを出したくない工夫を実験環境によって調合ややり方(割合や容器によって大きく変化します)を変えます。
処分する方法を事前に確認しておくこと、衣服が汚れた場合の洗浄法(ハイポ等の漂白剤使用)を示せることも必要です。当社は必ずハイポアルコールを用意して実験を行います。
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【ハイポアルコール】
これは、イソジンと言った茶色いうがい薬の汚れを脱色する薬品ですので、象の歯磨き粉で衣服や床などが汚れた茶色も綺麗に脱色できます。
が、脱色するため、衣服や床をかえって台無しにしてしまう可能性もありますので、汚れを取る前に必ずお試しのうえ使用してください。
【ハイポアルコールの画像】
【5リットルの丸底フラスコ】
丸底フラスコ5リットルは計6個所有しており、それに合わせて、取手付きビーカー、三角フラスコも用意して理科っぽい演出もしています!
【象の歯磨き粉実験でメディア協力した主な実績のリンク】
善ちゃんブログ「こっちが本命!TBS『実験ジャパン』出演のお知らせ」 URL https://www.science-show.net/post/20230527tbs-jikkenjapan
善ちゃんブログ「第2弾!YouTube『my channel【白石麻衣 公式】』に実験監修 URL https://www.science-show.net/post/20201212youtube-my-channel
※次の実績ができれば、その都度、更新します。
最後に
今回の象の歯磨き粉実験は、危険性の大きな化学実験です。
が、正しく取り扱い、そして正しく実験方法を確認して行えば、凄くインパクトもあり非常に楽しく、非日常的な感動も得られる、素晴らしい実験です。
安全性、そして薬品の処分法も含めた取扱いや実験の知識や経験を確立し、そこに「なぜ、この実験を行うのか」と言う意義と言った科学リテラシーも、しっかり持って臨んでもらいたいです。
目の前で起きる実験は画面から見られるモノとは全くの別物で、音、熱、風等を体感でき、迫力も断然異なります。
科学実験を見よう、やろう!
感動こそが原動力!
多くの子どもたちにが科学技術に憧れと夢を持ってくれますように。
そして、日ごろからの生活を科学的に考えられる科学脳を養おう!
と願いを込めて。
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