お風呂に溜めた水を、栓を抜き排水すると、渦巻きができます。
さあ、その渦巻きはどっちの向きに回っているでしょう?
時計回り?
それとも、反時計回り?
その答えは・・・
どちらでもありません。 渦はどちら側にも回ります。
以下に、順序立てて解説していきましょう。
「浴槽の水を抜くと、北半球では反時計回りに、南半球では時計回りに渦を巻く」という言い伝えは「俗説」で何の根拠もありません。
よく「コリオリ」という力が作用していると言われています。
この「コリオリの力」は地球のように回転するものの上を動く物体に働く力で、北半球で動く物体には、その位置に関わらず進行方向に対して直角右向きの力が働きます。
反対に南半球だと左向きになります。
【「コリオリの力」とは】
は大きな科学館で展示されている「フーコーの振り子」(国立科学博物館の展示をリンクしています)展示の仕組みを引用する方が効果的です。
振り子が1日中振れているときに、振り子の下に円形の板を敷き、板を1日に1回転します。
円形の板が1回転する間に振り子は全く動きません。
これを、この板の回転と同時に回転している人が見ると板は静止していて、振り子が1日に1回転します。
したがいまして、振り子を見ている人は振り子の錘(おもり)に進行方向へ直角の力が働いていると考えます。
【浴槽でコリオリの力で作用する渦を作る方法】
以下の条件を満たすと作れます。
浴槽の排水で出来る渦(「バスタブ渦」と専門的には呼ばれています)にも、コリオリの力は働くということが、過去の計算実験で発表されています。それは0.001%程度の誤差内の対称性を持つ円形の水槽で、さらに真ん中に排水口にあり、さらに水槽の水を24時間置いておく、という条件の元での話です。
これは円形断面でなくても同じことがいえます。
たとえば、四角の断面の浴槽でも面対称があれば同じことがいえます。
コリオリの力は浴槽程度の規模でしたら、とても小さい力ですので、浴槽がゆがんでいたり、少しでも水が動いていると、その動きが増幅されてコリオリの力に打ち勝ってしまうのです。
そのため、普段の生活で使っている現実的な浴槽では上記の条件は満たないので、「お風呂の栓のうずまきレベルでは、北半球南半球関係ない」と言えます。
Comments