実際に打ち水を検証実験してみた…「正しい打ち水~意外と間違いだらけの打ち水~」

夏の風物詩、打ち水。

見ているだけでも「涼」を感じます。



バケツと柄杓(ひしゃく)で水を撒く単純な行動ですが、正しく行えば効果絶大!

が、正しく行わなければ全く意味がありません。




【打ち水で涼しくなる理由】

水が蒸発することを気化と言い、その気化する際に必ず接している物質の熱を奪います。

これを気化熱と言います。

従いまして、水が気化すればするほど、熱を奪っていきますので、周囲の温度は低くなっていきます。

と言うことは、水が気化(蒸発)し易い状況であることを考えれば、水の表面積が大きい方が良いと言え、

コップに入っている水<雨粒<ミスト

と細かくなればなるほど気化熱が大きくなり、周囲の温度を短時間で下げることが可能となります。



【正しい打ち水のやり方】

打ち水の正しいやり方は以下のとおりです。

  • 天気の良い日に行う

  • 水道水を使うのはもったいないので川や雨水、お風呂で使った水などを有効に利用する

  • ひしゃく(無ければ、じょうろや手でも代用可能です)で万遍なく道路等に撒く(一応、1㎡あたりに1リットルと言うのが理想と言われています)

  • ビショビショにならないように、また水溜りができないように均等に隙間なく地面が濡れるようにする

そして、何よりも大事なのが、打ち水をする時間帯です。

  • 朝や夕方に行うのが効果的である


 

【打ち水を朝か夕方に行う理由】

炎天下の日中に打ち水を行うと、直ぐに水が蒸発しかえってモワッと感じて不快になるだけで、地面から奪う気化熱の効果も小さく涼しくなりません。

無風状態の炎天下で打ち水を行うと、蒸し暑さが一層増して、汗が噴き出すだけです。

最悪の場合、気分が悪くなったり、熱中症になったりしまいます。


その点、以下のように行えば、朝や夕方の打ち水は効果が得られます。


本来は太陽が西へ傾く時間帯に、建物の影などで道に直射日光が当たらなくなった場所で打ち水をするのが一番効果があり、本来もこの時間帯に行っているのが常識だったようです。

この時間帯に行うと、ゆっくりと水が蒸発し、その気化熱で地面の温度が下がり、更には「天気の良い日には必ず夕方に起きる緩やかな風」がその涼しさを長く運び続けてくれるのです。

こうした打ち水を行えば、夏の夕涼みとしても非常に気持ち良いひとときとなります。


朝でも太陽が昇らないうちに行えば、夕方と同じ条件ですので打ち水効果が得られ、朝から清々しい気持ちにさせてくれます。



【そのほか、効果的な打ち水】

  • 風通しの良い場所や風のある場所で打ち水を行う(一層、気化し易い長所と、涼しい風がおきるため)

  • 熱帯夜に行う(夜でもアスファルトなど熱を放出しているので効果がある)

  • エアコンの室外機に葦簀(よしず)で日陰を作り、その葦簀に打ち水をすると電気代も抑えられ、且つ涼しい風が得られる

  • 保水性の大きい壁やベランダに行う(特に地面に限定する必要はない)

  • 庭木や植物(プランター)も効果的である

  • 霧吹きがあれば、屋内でも体に吹きかけ、窓から入ってくる風や扇風機の風を浴びると体温を下げることができる


 

【芝生とコンクリートでの打ち水の比較実験】

2022年6月某日の晴れの朝9時に実験開始

1.開始時の表面温度

a.芝生 → 32.1℃

b.コンクリート → 34.8℃



2.万遍なく霧吹きで水を適量に撒く



3.15分後の表面温度

a.芝生 → 30.9℃ -1.2℃下がりました。

b.コンクリート 31.2℃ -3.6℃下がりました。


たった15分で霧吹き程度でも、これだけの成果が得られました。


 

テレビを見ていると、炎天下でイベント的に打ち水をしている光景が昨今のニュースで見かけますが、これはエコでも何でもないと言え、単に映えるため(話題性を欲しがっているため)に行っていると言っても過言ではありません。

「炎天下で行うと水が蒸発し上昇気流が生まれ、それにより涼しい風が発生する」と言った記事も見かけますが、それは間違いで、その気流によって生まれる空気の流れは風と認識するほどの速度もありませんし感じません。


打ち水は昔からのエコな冷房です。

それゆえに、正しく効果的に行い、夏の風物詩として後世へ引き継がれていってほしいと願っています。


そして、現在では、こうした気化熱を利用した衣類やタオル等が多く開発されています。

代表的なモノにUNIQLOのエアリズムがあります。

「なぜエアリズムが涼しくなるのか?」をまとめたブログは以下の通りですので、併せてご覧ください。

https://www.science-show.net/post/thereasonforgettingcoolbyairism



 

日常にちょっとした工夫をすると劇的に効果が上がったり、便利になったりします。

こうした発想が発明を生み、そして、それが特許と言った知的財産へと繋がり、商品化されることもあるのです。


科学も学ぶだけではなく、日常を便利にする知識として活用して、初めて先人たちが築き上げてきた科学の恩恵を受けられ、科学という学問の意義が発揮されるのです。


常日ごろ、「ふ」(不、負)を無くすという「気付きの発想」を持っていると、凄い発明家や科学者になれるの近道と言えましょう!




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