10円玉は硬貨のなかでも新品から間もなく光沢もなくなり汚れてしまいます。
汚くなっている10円玉を酢で拭き取るとピカピカになることは有名ですが、その酢にあるものを足すと、もっと早く綺麗にできる裏ワザを紹介します。
また10円玉にまつわる「へぇー」とうなる雑学もまとめています。
ここでは
と分かり易く実験についてお話ししています。
【出題】
隔月で寄稿している以下の記事をご覧になって考えてみてください。
【答え】
あるものは塩。
酢に塩を加えます。
以下が、酢のみ、酢+食塩で行った比較実験結果です。
1.ほぼ同じようにくすんだ色の10円玉を比較実験できるよう2枚用意します。
2.容器に酢をそれぞれ入れておきます。
3.まずは酢のみに、それぞれ10円玉を入れます。
4.右側には直ぐ塩をかけます。【左側:酢 右側:酢+塩】
5.5分程度経って取り出すと明らかに右側のみがピカピカになっています。
そして30分程度経ったらどちらもピカピカになっています。
時間差が圧倒的にあるのが分かります。
【5分後の10円玉 酢+塩が右側で、酢のみが左側】
【30分程度経った10円玉】
6.実験前と実験後(1と5)を比較してみると・・・明らかに違います。
【上:実験前 下:実験後】
※綺麗にした後は、濡れたままにしないで、綺麗に拭き取り、よく乾かしましょう!
【実験動画】
※実験を2パターン(5分後の比較、全てを綺麗にする)を撮影したため、10円玉硬貨が一致していない部分もありますが、事実に誤りはありません。
【10円玉の雑学をまとめてみました!】
10円玉の成分・・・銅が95%、亜鉛が3~4%、錫(すず)が1~2%の合金です。つまりほとんどが銅でできています。
10円玉の表と裏・・・裏表は明確にはありません。ただ独立行政法人造幣局によると発行年(年銘)のある側を裏側としていますので「平等院鳳凰堂」側が表、「10」と書かれている方が裏と言うことになります。
イヤホン誕生に10円玉・・・東京タワー建設時にとび職人が鼓膜を強風から守るために耳を10円玉をはめていたのを、当時のイヤホン開発者が見ていて10円玉サイズのイヤホンを作ったのが始まり。ただ10円玉大ではイヤホンとしては大きかったためサイズを小さくして現在のイヤホンの原型が誕生しています。
10円玉で靴を消臭・・・10円玉の主成分の銅は殺菌する効果と雑菌を分解するため、靴に入れておくと臭いが取れます。銅は水に反応し銅イオンを出し、このイオンがアンモニアや硫化水素と反応し匂いのない物質に変化することによります。
パソコンやスマートホンの放熱促進・・・10円玉の主成分の銅は熱伝導が大きい物質のため、パソコンやスマートホンが熱くなった際に置いてあげると放熱を盛んにしてくれ機器の保護につながります。
10円玉で花が長持ち・・・10円玉の主成分の銅は殺菌する効果と雑菌を分解するため、花瓶に入れておくと、生けた花が長持ちします。
10円玉でナメクジ退散・・・10円玉の主成分の銅、その銅イオンをナメクジやカタツムリは嫌いますので、鉢植えに挿しておけば近づいてきません。
※ほかにも銅としてできることがあるのですが、硬貨のため、あまり化学反応として利用してしまうと変質してしまい、これは現行法、貨幣損傷等取締法に抵触してしまうこともありますので、注意しましょう。
【↑10円玉の表】
【↑10円玉の裏】
【解説】
10円玉のくすんだ汚れは洗剤で洗っても落ちません。
なぜならば、この汚れは空気中の酸素と表面の銅が結びつき、酸化銅と変化している、その色なので(酸化反応)、洗剤で洗い落とせるものではないのです。
「銅≠酸化銅」で、銅と酸化銅は全く別の物質なのです。
汚れている10円玉、つまり酸化銅(CuO)を、酢に含まれている酢酸(CH₃COOH)に浸すと以下のような反応が起き、酢酸銅と水へ変化します。
CuO+2(CH₃COOH) → Cu(CH₃COO)₂+H₂O
酢酸銅は水に溶けますので、酢から取り出すと表面がピカピカの銅本来の色が出ます。
※実験後の酢は決して口にせず、しっかり水で洗い流してください。
この反応に塩をなぜ入れるのか?
塩は塩化ナトリウム(NaCl)で水に入れるとイオン化し、このときの塩化物イオン(Cl⁻)とナトリウムイオン(Na⁺)となります。
酸化銅の入った酢酸の中に塩化物イオンがあると、キレート配位した錯イオンが剥がす役割をして、酸化銅と酢酸の反応を一層助けてくれるのです。
※塩が研磨剤のように擦り取るような働きがあると言ったような誤った情報がインターネット等で紹介されているので、間違わないように注意しましょう。
身近なモノを使って「科学実験ができる」と言うことに気付き、身の回りにあるモノで、いろいろと科学実験を行ってみる、行えるようになることは、新しい思考が生まれ、そして、発見発明する思考となり、日常が一層刺激的で好奇心が旺盛となり、やがて日々を一層豊かに過ごせるようになります。
あわよくば、こうした思考から生まれた発明が、特許と言った知的財産へと繋がり、商品化されることもあるのです。
科学も学ぶだけではなく、日常を便利にする知識として活用して、初めて先人たちが築き上げてきた科学の恩恵を受けられ、科学という学問の意義が発揮されるのです。
常日ごろ、「ふ」(不、負)を無くすという「気付きの発想」を持っていると、凄い発明家や科学者になれるの近道と言えましょう!
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