まずは、温泉と関係のない話から始めます。
普段の私たちの見る鉄ほとんどは鉄そのものではありません。
ほとんどは鉄の化合物です。
身近なところでは酸素と化合した鉄、酸化鉄と言いますが、赤錆びや砂鉄なんかが知られていますね。
スプーンも鉄で出来ているイメージが強いようですが、鉄とクロム等の合金で作られているのが殆どです。
そのイメージは、小学生の時に「鉄は磁石にくっつく」と砂鉄という酸化鉄を用いて勉強し、その記憶が強く植え付けられているかもしれません。
ですから「鉄分が不足していますよ」と診断され、鉄そのものを口から直接摂取しようなんて馬鹿げた行為はしませんよね(^^)
必ずサプリメントも鉄分を摂取し易いように鉄を化合物にして作られています。
さて、話を本題に戻します。
【地鉈温泉】(じなたおんせん) 2014年に行ってきました。
場所 東京都新島村式根島
泉質 硫化鉄泉
効能 筋肉痛、冷え性、胃腸病、婦人病
pH値 およそ6.5(弱酸性) ←中性はpH値が7.0です
錆びと海水の香りが一面漂っています(嫌な香りでなく、「身体に良い温泉の香りだ」と思える感覚です)。岩に赤錆びが付着しています。
赤錆びは物質としては磁石を近付けてもくっつかない酸化鉄です。
地鉈温泉は、硫化鉄泉でありながら、殆んど硫黄特有の匂いを感じないため、今回は、硫化の部分は別として、鉄分を含む鉄泉として、どのような効能があるのか、効能として書かれている理由についてお話しします。
◆科学の見地から鉄泉の良いところ 鉄を含む温泉、鉄泉は造血作用に良いと言われています。
それはなぜか?
鉄は赤血球形成の過程で必要不可欠だからです。
赤血球は鉄がないとヘモグロビンが作れないのです。
造られた血液で、鉄は赤血球内のヘモグロビンのヘム鉄となり体内を巡回して酸素を送る役割を果たしています。
したがいまして、鉄の不足は鉄欠乏性貧血を起こします
こうなると血液に十分な酸素がないため、体全体の細胞が酸素不足となり、冷え症や肩こりにつながってしまいます。
ヘム鉄が十分な量ですと、当然、酸素を順調に体内へ送れますから、筋肉痛や胃腸にも効果が現れると言うことです。
鉄泉のポイントは、主に造血作用、その中のヘモグロビンのヘム鉄と言えます。
◆鉄泉の良くないところ
鉄分は吸収しにくいミネラルなので、ちょっとした入浴だけでは吸収量が足りません。継続的に定期的通われるのがベターです。
これが、鉄泉の主な長短所です。
地鉈温泉。
そこは強いインパクトを受ける原風景です。
まず歩いて向かう途中に「湯加減の穴」に出会います。
この穴に手を入れると「その日の式根の温泉の温度が分かる不思議な穴」と紹介されています。
確かに地熱が籠ってスチーム状で、実際に感じた温度は他の式根の温泉の温度と同じ感じでした。
それは当然なのでしょうが、ユニークな穴で楽しめます。
↑穴の中はこんな感じです。
↑地鉈温泉の入口です。まだ、この先の険しい道を知らず笑顔です。
鉈で切り裂いたようなV字型の合間をひたすら下っていきます。急な階段の連続です(汗)
海が目先にサプライズ的にドンと現れ、一層美しく見え感激します。
到着すると、このような野天湯といった感じの天然の温泉が現れます。
海を望む景色は最高です!
↑海側から地鉈温泉を撮るとこんな感じです! かなり入口から下ってきたことも分かります。
↑源泉温度が80度と非常に高いので、これくらいの水量だと熱くて入れません。
海水で薄めて入るよう岩を動かしたりして楽しみます。
秘湯感は半端ないですし、自然に溶け込んでいく自分自身を感じます。間近に聞こえる波の音も心地良く、くつろげる野天湯でした。
ただ、地鉈温泉の場合、海水も混ざり合ってますから、非常に持ち物が錆びやすくなりますので十分に気を付けてください。
そして、水着とタオルを持って、ビーチサンダル等でラフな格好で行くことをお勧めします。
無料の洗い場はありますので、ご安心ください。
地鉈温泉、「内科の湯」と呼ばれ、その効能は古くから知られ利用されていました。
「病む人、湯の沸く岩をじっと抱(いだ)いて」と俳人、萩原井泉水(はぎわらいせんすい)は詠んだ湯です。島の人は「夜潮」と呼び、月を見ながら潮騒と風の音とともに湯治を楽しんでいるようです。
一度は行ってみたい、個性豊かな温泉です。
善ちゃんの温泉レポートは好評であろうと不評であろうと、めげずに頑張って記事にしていこうと計画しています。 そして、どなたか1人でも、その心に響きますように願いを込めて・・・。
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